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2017/08/10

2017.8.10 兵庫県立伊丹高等学校SGHプロジェクト会議

9月の外部発表会を前に,担当の先生方5名と,これまでの進捗を振り返り,今後の改善策について協議しました。

最近,方々の学校で申していることですが,中学校や高校の探求系活動では,

1)プロジェクトのゴールを明確にすること
2)具体的なモデル(見本,お手本)を用意して実際に見せること
3)ロジックの歪みに生徒自らが気付くような指導の手立てを考えること
4)「生徒の自主性」というお題目を過度に尊重せず,問題があれば教師がきちんと介入して適切な指導を加えること

がプロジェクトの成功のカギを握ると思われます。正しいアプローチで接すれば,生徒は必ずや大きく成長します。同校の取り組みのさらなる発展を期待したいです。

(日本の食品を海外に売り込む場合の提案モデルの一例)
●テーマ:アメリカ人の大好きなポップコーンを改良する
●問題の発見:アメリカの高校生10人へインタビュー:今のポップコーンに不満な点は? (オイリー,味が単調で飽きる,おしゃれじゃない,食べ過ぎる)
●ねらいの明確化:日本の食材や技術を活用し,(i)ノンオイル,(ii)バラエティ豊かなテイスト,(iii)おしゃれなパッケージ,(iv)少量包装の新感覚ポップコーンを新規に開発・提案。
●提案:
0)日本のポン菓子技術の応用
1)トウモロコシ以外の爆裂種穀物を混ぜる(黒豆,大豆,きび,あわ)
2)バターを絡めず,爆裂のまま
3)穀物種ごとに異なる味付け:砂糖,塩,コショウ,カレー粉など
4)中身が見えるおしゃれなクリアケースに少量を入れる。保存性も留意。
  参考:UHA 味覚糖社emaのパッケージ
●マーケットリサーチ
0)上記を実際に制作する
1)まず日本人10人に試食依頼(味,パッケージ,許容価格,改善点)
2)その後留学生10人に試食依頼(味,パッケージ,許容価格,改善点)
●改善
上記をふまえて改善ポイントを洗い出して改善版を制作。これを最終提案物とする

また,評価のためのルーブリックを決めていくのもよい工夫です。

高校探究活動評価ルーブリックVersion 2017(石川,in press)

1)基本的なロジックの整理
以下の4点が整理されているか?
A:大問題(根本的な関心対象である社会的問題の概要):
B:小問題(上記に関して本研究で解明しようとする具体的な小問題の概要):
C:問題解決(調査・研究を通してどんな結果が想定され,それによって小問題がどう解決されるか):
D:想定される結果(小問題を解決することで大問題がどう解決に近づくか)

2)評価の観点<「向学心,発進!」モデル>
A:貢献性(自分の関心を満たすだけでなく社会の問題の解決につながるテーマか)1・2・3・4・5
B:学術性(文献調査や安直なアンケートだけでなく,実験などの科学的手法に落とし込めるテーマか)1・2・3・4・5
C:親近性(無理に背伸びせず誰もが共感するような日常の暮らしと接合したテーマか)1・2・3・4・5
D:発見性(常識や定説を確認するだけでなく小さくとも新鮮な発見や驚きが得られるテーマか)1・2・3・4・5
E:新奇性(すでにどこかで聞いたような話ではなく初めて聞く新鮮さを持つテーマか)1・2・3・4・5

ついでにイメージロゴも作っておきます。


※イラストはフリー画像を使用させていただきました。
(クレジット)
https://www.silhouette-ac.com/
http://free-photos.gatag.net