このブログを検索

2017/08/31

2017.8.28-31 大学英語教育学会(JACET)国際大会参加

青山学院大学で開催された表記大会に参加しました。

今回は,日頃の私の授業でも学生に論文を読ませているSiedlhofer教授の講演がメインでした。ELFをやるものにとって,それをどう指導に組み込むかは悩ましいところですが,教授は,みずから,「ELF(リンガフランカとしての英語)は1個の言語ないし言語変種として定義不可なので,そもそも教育対象になりえない」という最近のELF批判を取り上げ,そうした批判が筋違いのものであることを明快に主張されました。


また,今回の大会では,学会賞授与の仕事を担当しました。






2017/08/25

2017.8.24-25 インドネシアICONELT国際学会で研究発表

インドネシア・スラバヤで開催された表記大会で研究発表を行いました。

学会:2017 International Conference English Language Teaching (ICONELT)
会場:State Islamic University of Sunan Ampel Surabaya, Indonesia
演題:How L2 Learners’ Critical Thinking Ability Influences Their L2 Performance: A Statistical Approach

今回の発表は,昨年来行っている批判的思考力開発プロジェクトに関わるもので,批判的思考能力テストスコアと一般のL2習熟度テストスコアの相関分析がメインです。


上記は,男女・専攻などの学習者要因と,5観点別の批判的思考力,また,L2リスニング・リーディング力の綜合分析の結果です。批判的思考力は一般に「じっくり多元的に考える力」とみなされることが多く,であればリーディングとの相関が予想されますが,実際にはむしろリスニングのようなオンライン処理との関係が深いことが示唆されました。








2017/08/22

2017.8.22 尼崎市立常陽中学校教員研修会講演


表記で講演を行いました。

同校では,新しい道徳教育の促進と,アクティブラーニングの導入の支援を行っており,今回は,そのキックアップとなる講演です。

今後,年度内にもう一度訪問させていただき,次回は実際の授業実践を拝見した上で,指導講話を行う予定になっています。
         

於:尼崎市立常陽中学校

2017/08/19

2017.8.19-20 第9回中日対照言語学会@北京北方工業大学

表記大会に基調講演者としてお招きいただき,お話をしてきました。

基調講演
石川慎一郎(神戸大)「日本語研究の新しい視点:コーパスが明らかにする言語事実」


ここ数年,北京外大での集中講義,湖南大学での講演,そして今回の講演と,中国全土の日本語研究者の皆さんと関わる機会が増えています。今回とくに嬉しかったのは,かつて,神戸大でわたしのコーパスのクラスに出ていた学生さんが,その後,名門武漢大学の助教となられ,講演を聞きにくれたこと。学ぶことが多く,充実した時間を過ごさせていただきました。

以下,講演資料より。当日は,中国語・英語・日本語について,コーパスからわかるそれぞれの言語特徴の一端を紹介し,あわせて,対照言語学研究において「分析の枠組み」を固定することの重要性についてお話ししました。






2017/08/16

2017.8.16 鳥取県教育委員会高校生英語プレゼンテーション講習会

鳥取県教委の依頼により,昨年度に引き続き,表記の講座の指導を担当しました。昨年度は大山での一泊でしたが,今回は鳥取駅前の市民ホールを利用。受講生の諸君には,ロジカルシンキングによる内容の徹底した作り直しをふまえ,大舞台での発表を経験していただきました。


講座終了後,帰宅までの時間を使って,数十年(?)ぶりに鳥取砂丘を見学してきました。ただ時間がなくて滞在は5分だけ。写真を一枚取ってとんぼ返りです。


個人的には砂丘よりもコナンくん(というか蘭姉ちゃん)。。。




2017/08/10

2017.8.10 兵庫県立伊丹高等学校SGHプロジェクト会議

9月の外部発表会を前に,担当の先生方5名と,これまでの進捗を振り返り,今後の改善策について協議しました。

最近,方々の学校で申していることですが,中学校や高校の探求系活動では,

1)プロジェクトのゴールを明確にすること
2)具体的なモデル(見本,お手本)を用意して実際に見せること
3)ロジックの歪みに生徒自らが気付くような指導の手立てを考えること
4)「生徒の自主性」というお題目を過度に尊重せず,問題があれば教師がきちんと介入して適切な指導を加えること

がプロジェクトの成功のカギを握ると思われます。正しいアプローチで接すれば,生徒は必ずや大きく成長します。同校の取り組みのさらなる発展を期待したいです。

(日本の食品を海外に売り込む場合の提案モデルの一例)
●テーマ:アメリカ人の大好きなポップコーンを改良する
●問題の発見:アメリカの高校生10人へインタビュー:今のポップコーンに不満な点は? (オイリー,味が単調で飽きる,おしゃれじゃない,食べ過ぎる)
●ねらいの明確化:日本の食材や技術を活用し,(i)ノンオイル,(ii)バラエティ豊かなテイスト,(iii)おしゃれなパッケージ,(iv)少量包装の新感覚ポップコーンを新規に開発・提案。
●提案:
0)日本のポン菓子技術の応用
1)トウモロコシ以外の爆裂種穀物を混ぜる(黒豆,大豆,きび,あわ)
2)バターを絡めず,爆裂のまま
3)穀物種ごとに異なる味付け:砂糖,塩,コショウ,カレー粉など
4)中身が見えるおしゃれなクリアケースに少量を入れる。保存性も留意。
  参考:UHA 味覚糖社emaのパッケージ
●マーケットリサーチ
0)上記を実際に制作する
1)まず日本人10人に試食依頼(味,パッケージ,許容価格,改善点)
2)その後留学生10人に試食依頼(味,パッケージ,許容価格,改善点)
●改善
上記をふまえて改善ポイントを洗い出して改善版を制作。これを最終提案物とする

また,評価のためのルーブリックを決めていくのもよい工夫です。

高校探究活動評価ルーブリックVersion 2017(石川,in press)

1)基本的なロジックの整理
以下の4点が整理されているか?
A:大問題(根本的な関心対象である社会的問題の概要):
B:小問題(上記に関して本研究で解明しようとする具体的な小問題の概要):
C:問題解決(調査・研究を通してどんな結果が想定され,それによって小問題がどう解決されるか):
D:想定される結果(小問題を解決することで大問題がどう解決に近づくか)

2)評価の観点<「向学心,発進!」モデル>
A:貢献性(自分の関心を満たすだけでなく社会の問題の解決につながるテーマか)1・2・3・4・5
B:学術性(文献調査や安直なアンケートだけでなく,実験などの科学的手法に落とし込めるテーマか)1・2・3・4・5
C:親近性(無理に背伸びせず誰もが共感するような日常の暮らしと接合したテーマか)1・2・3・4・5
D:発見性(常識や定説を確認するだけでなく小さくとも新鮮な発見や驚きが得られるテーマか)1・2・3・4・5
E:新奇性(すでにどこかで聞いたような話ではなく初めて聞く新鮮さを持つテーマか)1・2・3・4・5

ついでにイメージロゴも作っておきます。


※イラストはフリー画像を使用させていただきました。
(クレジット)
https://www.silhouette-ac.com/
http://free-photos.gatag.net


2017/08/08

2017.8.8 大阪大学言語文化研究科「教員のための英語リフレッシュ講座」での講義担当

表記で講座を担当しました。


石川慎一郎:「コーパスに基づく語彙指導:何をどこまでどう教えるか」

当日は,60名近い小中高の先生方を対象に,語彙指導をめぐる最近の内外の動き,また,コーパスによる語彙選定や,語彙習得の問題について講義させていただきました。

2017/08/06

2017.8.6 「日本語教育とコンピュータ」国際会議CASTEL/J参加

表記学会に参加しました。

CASTEL/Jは,日本語教育のための用例辞書等の開発を目指す研究プロジェクトを母体として開催される国際学会で,1995年以降,4~5年ごとに開催されています。今回は,早稲田大学を会場として行われました。

当日は以下の発表を聴講しました。

「日本語で何ができるか」を測る—パフォーマンスベースのオンライン到達度テストと採点システム—(Mayu Miyamoto, Atsushi Fukada)

日本語文法認知診断Webテストの開発(Megumi Shimada, Yuan Sun, Hiroko Yabe, Tetsuya Toyota)

日本語人材を目指すタイ人日本語学習者を対象とした非同期型eラーニングの提案(Kanako Yoshimine)

漢越語を活かした発音矯正・語彙習得のためのスマホアプリ開発に向けた日越音声コーパスの構築(Naomi Cross, Megumi Yamasaki, Dinh Thi Thu Trang, Tran Thanh Van)

気持ちを伝える音声のWeb教材(Naoko Kinoshita, Chieko Nakagawa)

共同構築型自然会話リソースバンクの教材作成支援機能(NCRB:Natural Conversation Resource Bank)、及び、作成した自然会話WEB教材の使い方(Mayumi Usami)


上記はMayu Miyamoto氏の発表風景

◎特に印象にのこったのは,「気持ちを伝える音声のweb教材」の発表でした。日本語では「ありがとう」1つでも,言い方によって,感謝にも批判にも逆ギレにもいろいろなニュアンスが出ますが,そうしたパラ言語的意味解釈は一般の教材では扱われません。これをビデオ教材等を使って指導するという提案でしたが,英語教育でこのレベルに達したものは知る限りほとんど存在しません。日本語教育のほうが進んでいる点がいろいろあり,非常に勉強になった1日でした。



2017/08/05

2017.8.5 外国語教育メディア学会ワークショップ担当

表記で講師を担当しました。

学習者コーパス研究入門:日本語学習者・英語学習者のL2産出をどう評価するか 講師: 石川 慎一郎 (神戸大学)
日時: 8月5日(土) 12:30-14:00
会場: 曙館406
概要
コーパス研究と学習者研究を繋ぐ新しい分野として学習者コーパス研究に関心が集まっています。学習者コーパスは、伝統的な第2言語習得研究で試みられてきた対照研究や誤用研究に新たな見取りを与え、計量的データを根拠として学習者の特性や習得上の問題点を明らかにすることができます。一方、学習者コーパス研究で一般的に使用される中間言語対照分析という手法については様々な制約もあり、データをうまく慎重に使うことが求められます。本ワークショップでは、最近開発されたL2日本語学習者コーパスとL2英語学習者コーパスを取り上げ、その開発理念・データの入手方法・分析方法・研究方法等を紹介し、学習者コーパスから得られる知見の妥当性を高め、指導に生かす方向について考えていきます。


参加してくださった皆様,ありがとうございました。

2017/08/04

2017.8.4 学習者コーパスワークショップLCSAW2017開催

学習者コーパス研究国際シンポジウムLCSAW (Learner Corpus Studies in Asia and the World)2017を開催しました。

当日は,6本の講演,19本の研究発表があり,70名以上の参加があって盛況のうちに終了することができました。ご参会・ご支援に御礼申し上げます。


ゼミ関係の講演・発表は下記です。

講演
石川慎一郎(神戸大学) ICNALE独話・対話モジュールの開発と活用:変数としての発話モード ―変数としての発話モード― 

発表
06 中西 淳(神戸大学・大学院生) 日本人英語学習者のライティングにみられる前置詞句の分析 ―in, on, atの3語クラスターに注目して― 

08 張 晶鑫(神戸大学・大学院生) 「多言語母語の日本語学習者横断コーパス」にみる中国人日本語学習者のオノマトペの使用特性 ―日本語母語話者及び韓国語・英語母語話者との比較から― 

09 朱 琳(神戸大学・大学院研究生) 日本語学習者の動詞活用誤りに対する分析 ―主要な日本語学習者コーパスの比較調査から― 

15 鄧 琪(神戸大学・大学院生) 中国人日本語学習者の外来語使用に対する一考察 ―「多言語母語の日本語学習者横断コーパス」を用いた調査をふまえて― 

17 隋 詩霖(神戸大学・大学院生) 日本語学習者による「私が望む日本語教材」作文の収集と分析 

19 石川慎一郎(神戸大) ICNALE- Edited Essays:エラーアナリシスを超えて(※ポスター展示のみ)

当日は,遠く沖縄からもゼミのOBG生が参加してくれ,懇親会では懐かしい再会のひと時を過ごしました。