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2016/12/24

2016.12.24 日本語コーパスはごろも研究会シンポジウム出席

表記の会に出席しました。

2016年日本女子大学主催 『はごろも』研究会共催公開シンポジウム
「日本語教育において必要な文法研究とは何か」、「文法研究をどのように日本語教育に活かせるか?」
【テーマ1】日本語教育において必要な文法研究とは何か   
・発題者1(庵功雄・一橋大学国際教育センター教授)
【テーマ2】文法研究をどのように日本語教育に活かせるか?-『日本語記述文法1~7』を例に-
・発題者2(前田直子:学習院大学文学部教授) 30分 発表スライド
  含:事前に参加者から寄せられた意見の披露とそれに対する発題者のコメント

「はごろも」は日本女子大の堀恵子先生が作っておられる文法項目の用例データベースです。日本語教育に有用性の高い資料です。たとえば,「~と思う」という文法項目の場合,以下のように情報が出力されます。


旧日本語能力試験の語彙レベル,また,各種文法書等の記述,用例などが一括表示されるので,教師が個々の文法項目を指導する際に非常に有用です。また,使いやすく見て美しいオンラインのインタフェースも開発の参考になります。
http://jreadability.net/hagoromo






2016/12/16

2016.12.16 兵庫県立西宮北高校「小学校英語出前授業」視察と講話


本年度数回にわたって関わっている西宮北高校の生徒さんの英語活動を視察し,講評を行いました。高校生は数週間にわたって準備を重ねた上で,近隣の小学校を訪問し,小学生を相手にbやpの発音のコツをうまく指導していました。

流行の歌から始め,クリスマスソングにつなぐ展開など,子供のニーズをよく考えた良い指導であったと思います。こうした体験を通して,小学生はもちろん,高校生の側にも学ぶことが多かったのではないかと思います。


※紙を使って,破裂音の息の強さを確認させる指導の様子(匿名化処理済)

2016/12/14

2016.12.14 国語研日本語ウェブコーパス検索系講習会参加


表記の講習会に参加し,国語研究所で開発中の10億語コーパスの新しい検索技術について学びました。


日時:2016/12/14 (水) 9:30-11:30
場所:大阪:梅田:イオンコンパス大阪駅前会議室 Room D
講師:浅原正幸先生(国立国語研究所)

参考
国語研日本語ウェブコーパス http://pj.ninjal.ac.jp/corpus_center/nwjc/

1)ウェブを母集団とする
2)100 億語規模
3)「稀言語現象の言語学的、心理学的および情報処理的視点からの研究」用
4)「言語研究のための用例収集、日本語使用実態の定量的な把握」などの用途を想定

検索結果例 http://pj.ninjal.ac.jp/corpus_center/nwjc/bonten-results.html

所感
大納言・中納言・梵天などの種別があるという「四十松」に着想を得て命名された新しい検索系は,係受けをビジュアルに示すという点で,統語研究などに有益であると感じました。また,わかりやすアウトプットがあれば(たとえば,単語Xを指定すれば,受けの側のYの頻度リストを自動生成する等),さらに利便性が高まると感じました。ただ,新コーパスについては,サイズが圧倒的に大きいことや,editingが入っていないデータも多いだけに,言語教育研究への応用の是非については,伸長に考えていきたいと感じた次第です。

2016/12/03

2016.12.3 国立国語研究所学習者コーパスワークショップ講演

下記の会で講演を行いました。

2016/12/3
国立国語研究所第1回学習者コーパスワークショップ-学習者コーパス(I-JAS)を利用するために-

講演 石川慎一郎先生(神戸大学・教授) 「世界の英語学習者コーパス研究の潮流:HowからWhyへ」


2016/12/01

2016.12.01 津名高校インスパイア―事業講話

兵庫県立津名高校は,英語プレゼンテーションを核にした英語教育を展開しておられます。県教委のインスパイア―事業の一環として,同校を訪問し,生徒さんに指導を行いました。夏に引き続いて2回目です。

6つのグループが発表してくれましたが,前回の指導をよく覚えてくれていて,冒頭で問を投げかけるなど,ずいぶん進歩した様子が確認できました。

残るはロジックの問題で,高校生だけでなく,ふだん指導している大学生・大学院生にとっても,ここが最大のハードルです。

話したいことが多すぎると,情報間のロジックのつながりが見えにくくなり,結果として伝わりにくい話になってしまいます。
ありきたりではありますが,

1)問題をクリアに絞る
2)解決策をクリアに示す
3)主張をクリアに示す

この3点がきちんとできていることが重要だという思いを改めて持ちました。

順に
講義風景,舞子から大橋を望む,津名港















2016/11/26

2016.11.26-27 中国湖南大学日本語コーパスシンポジウム講演


数据库与日语教育研究国际研讨会
2016/11/26-27

国立国語研究所の迫田久美子先生,砂川有里子先生とともに,湖南大学に招聘していただき,2日間にわたって講演を行いました。

Day 1
【講演】
石川慎一郎先生(神戸大学教授)「世界の学習者コーパス研究の現状と日本語学習者コーパスへの期待」

迫田久美子先生(広島大名誉教授・日本国立国語研究所客員教授)「新しい日本語学習者コーパスの構築:I-JASの概要と研究への展開」

砂川有里子先生(筑波大名誉教授・日本国立国語研究所客員教授)「日本語学習者コーパスを使った習得研究」

【パラレルセッション】
18件


Day 2

【ワークショップ】
迫田久美子先生 「学習者コーパスどう使うか:I-JAS・C-JAS検索法入門」

砂川有里子先生 「日本語コーパスをどう使うか:NINJAL -LWP検索法入門」

石川慎一郎先生 「コーパスから得た頻度データをどう処理するか:統計処理法入門」


2016/11/24

2016.11.24 兵庫県立伊丹高校 インスパイア―事業講話


Super Global High Schoolに指定されている伊丹高校に赴き,SGH生(2年生)に講話を行いました。

伊丹高校では,「食」をテーマにした研究活動を行っておられます。

今後,どのように展開していくのか大変楽しみですが,localとglobalをつなぐという観点から,地元の産品への理解を深めていただけるとよいのではないか,と思いました。

参考:伊丹の産品(伊丹市観光物産協会)
http://itami-kankou.com/


2016.11.24 神戸大学共通教育ベストティーチャー賞授賞式

上記で表彰を受けました。これを励みにして教育にさらに励みたいです。




2016/11/19

2016.11.19 神戸大学附属幼稚園・小学校研究発表会 講話

「幼少接続から幼少一体へ」をテーマに掲げた附属幼稚園・小学校の研究発表会に助言者として参加し,グローバル科の英語の授業を視察し,講話を行いました。

視察した授業は,附属の所在する「明石の町を英語で留学生に紹介しよう」というもので,当日の授業では,自分の考えた明石の解説文を英語にして上手に読む練習を行っていました。

小学校での英語指導においては,「MARC」の視点が重要であると思われます。

 •Motivated  活動が児童にとって自然な動機に裏付けられている

 •Active 活動がすべての中心に位置付けられている

 •Real 児童のリアルに向き合っている

 •Cultural 英語を通して文化を感じる

この視点は,小学校に限らず,幅広い校種の教育に応用可能でしょう。

また,研究紀要に以下の論文を発表しました。
石川慎一郎(2016)「キーコンピテンシーを志向したカリキュラムデザイン」








2016/11/18

2016.11.18 兵庫県立西宮北高校講話


兵庫県教育委員会のインスパイア―事業に基づき,西宮北高校で生徒の皆さんの指導を行いました。

同校は,近隣の小学校にでかけて,高校生が小学生に英語を教えるというユニークなプログラムを展開しておられます。講話では,このプログラムの実施に先立ち,授業の設計,小学校英語教育の理念等について助言しました。

昨年度に引き続いて関わっていますが,本年度は,苦手な人が多い発音のワークショップを企画するようで,高校生の皆さんは,「小学生に嘘を教えちゃだめだから」と,高いモーチベーションで準備に取り組んでおられました。本番が楽しみです。

いつもながらの絶景




2016/11/17

2016.11.17 広島大学「言語と情報研究プロジェクト」 第59回公開セミナー で講演

広島大学の研究会で下記の内容で講演を行いました。

2016/11/17
言語と情報研究プロジェクト第59回公開セミナー
L2ライティング研究と学習者コーパス研究:良い作文をどう定義するか?

講演では,「良い作文」の定義について,L1,L2を比較して考察した後,学習者コーパス研究による「良い作文」の量化の可能性について議論いたしました。また,現在,研究室で構築している観点評価・校閲データつき国際学習者コーパスの解析の結果をご紹介しました。当日は,広島大や地域の中高大の先生がたのほか,大学院生の方にも多数ご参加いただき,こちらも大いに学ばせていただきました。




















































2016/11/15

2016.11.15 Tamkang University Ph.D.事前審査

台湾の淡江大学文学部英文科より依頼を受け,同大学に所属のPh.D.学生の主査を引き受けることになりました。本日は,研究計画審査会にskypeを使って参加し,リサーチデザインについて質疑を行いました。




distanceで海外大学の大学院生を指導するのは2人目になります。1人目はシンガポール国立大,2人目が今回です。今の時代,研究室の場所は物理的に固定していても,学術的な交流は簡単に海を越えるものだと改めて実感した次第です。




2016/11/12

2016.11.12 韓国社会言語学会での発表



表記学会に招待され,発表を行いました。

題目:Strategy of identity-marking: A learner corpus-based study on use of the 1st person pronouns in L2 English essays/ speeches by Chinese, Japanese, and Korean learners

先行研究では,NNSの1人称代名詞(I/We)使用について

(i)  NNSは書き言葉でもくだけた文体を使ってしまい,1人称代名詞をNSよりも過剰使用する
(ii) NNSは主張に自身がなく,かつ,アカデミックライティングの作法を理解していないので,1人称代名詞をNSよりも過小使用する

という二つの矛盾する見解があります。

この研究では,コーパスを使って通説の確認を行いました。

















ソウルに滞在したのは,100万人デモの当日。歴史の胎動を身近で感じる韓国訪問でした。

2016/11/04

2016.11.4 附属小学校英語受業案打ち合わせ

附属小学校より担当の先生が来学され,研究受業のための教案についてディスカッションを行いました。

私のほうからは,活動の最終的なゴールのイメージをクリアにすることなどについて提案させていただきました。本番は11/19,どんな授業に仕上がっているか楽しみです。

2016/10/29

2016.10.29 私立西大和学園高等学校SGH運営指導委員会

西大和学園は,アジア地域の問題発見・問題解決型のプログラムでSGHを進めておられます。






















当日は,生徒さんの中間発表を聴講するとともに,今後のプロジェクトの進め方などについて運営指導委員として意見を具申しました。今年度は4つの高校のSGHに関わっており,それぞれの取り組みを通してこちらも学ぶことが多いです。

2016/10/28

2016.10.28 外国語教育コンテンツ論コース集団指導

年内最終回。

ゼミからは,D1,M2,M1の3名が発表しました。




D1 栁 素子
「 会/能/可以の差異一先行研究の分析と統計的解析」

M2 前浜 知味
「中高生学習者向けの句動詞リスト開発ー統計手法を用いた前件・後件共起語の同時分類に基づく句動詞意味機能の推定ー」


M1中西 淳
「作文中の前置詞頻度に着目した学習者の習熟度推定―800本の個別作文の分析をふまえて―」 

2016/10/27

2016.10.27 兵庫県立長田高校人文数理探究類型講演会

表記で,高校生の皆さんに,リサーチ入門についてお話ししました。

演題: 高校生のためのリサーチリテラシ入門 「研究」と「研究っぽいもの」の違いは何か?

講演では,同校の先輩のリサーチなどを例に取り上げながら,リサーチの成立要件,良いリサーチのコツ,リサーチデザインの構築などについてお話しし,生徒さん同士でリサーチのタネを探していただくワークショップを実施しました。



これまで,類似の講演で,リサーチの要件をいろいろ説明していたのですが,今日の話では,先日(10/13)の日本経済新聞の交遊抄で知った「オハイオ」を使わせていただきました。

オ 面白くて
ハ 初めてで
イ 意味があり
オ 驚きがある

私の考える「良い研究」にジャストミートする便利な言葉です。



なお,これは,意外と多く引用されているようで,下記ではカシオ計算機の社風を表す言葉として使われています。

http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20160315/ecn1603150830004-n1.htm

上記によると,出典は建築家の近澤可也氏のことです。

http://www.pandecon.com/chikasawa.html

良い建築,良い会社,良い研究,コアになるプリンシプルというのは,意外とシンプルでユニバーサルなものなのかもしれません。



ちなみに,アカデミックライティングでは,アブストラクトの書き方として,これまで一般に,CARSモデル(Swales)が推奨されてきました。


CARS(Creating A Research Space)モデル

Move 1 陣地づくり: XXXという分野は重要で多くの研究がなされているが,~という点でずれや不足があると主張

Move 2 ニッチづくり: 上記のずれや不足を示し,先行研究に反論するなどして,先行研究の中のニッチ(niche)を指摘

Move 3 ニッチ埋め: 自分の研究でどのようにしてニッチが埋まったかを示す。


要は先行研究を手際よくレビューしながら,まだなされていない「ニッチ」を探し,そこにうまく自分の研究をはめ込んでいくわけですが,オハイオはこの理念をも見事に言い尽くしています。

2016/10/22

2016.10.21-23 アジア太平洋コーパス学会(北京航空航天大学)

表記学会に参加しました。



















なんとも壮麗なキャンパスで,多くの発表を聞くことができ,非常に有益でした。マイケル・バーロ先生,トニー・マケナリー先生,ウテ・ローマ先生ら,御世話になっている先生がたと再会する機会ともなりました。

発表題目:Can a tense/ aspect variety be an L2 learners' proficie
ncy index?
















OPIなどでは,過去形の使用が高い習熟度の目安とされていますが,学習者コーパスのデータ解析からは,過去形の出現比率と習熟度の間にリニアな関係は確認できませんでした。ただし,PPなど,比較的強い相関が出たものもあるので,voiceなどは習熟度の指標になりうる可能性があります。

また,学会の前日には,昨年,集中講義で滞在していた北京外大の先生,この夏まで研究室で受け入れていた大学院生の皆さんと会食し,懐かしいひと時を過ごしました。





















2016/10/15

2016.10.15 JACET関西役員会

表記役員会に出席しました。@同志社大学

2016/10/13

2016.10.13 兵庫県立伊丹高等学校SGH講演会

スーパーグローバルハイスクールに採択されている伊丹高校にお招きいただき,1年生全員を対象として,講演を行いました。

講演では,キーコンピタンシーという概念とからめて,アイデアを作る発想力,アイデアを練りこむ批判的思考力,それを伝える言語力の相互関係やその育成について,ワークショップを交えて,お話しました。



講演後には,生徒さんから,「なんでも質問」を受けるのですが,"英語はどうやって勉強しましたか?"というよくあるものから,"大学教授のいいところは?" という思わず考え込むものまで,いろいろ楽しい質問をいただきました。

また,講演後は,同校のSGH課長の先生と長時間にわたってお話させていただき,SGHの枠組みの中での事業計画の構造化の必要性について意見を述べました。


参考:同校のSGH計画の概要(HPより)

どの指定校にもメインテーマがあり、本校は「食と健康」で、これも他にあまり例のないテーマです。
週に1時間の「総合的な学習」で、課題研究を進めます。
本校のメインテーマに従い、各自が「おいしく食べて健康になる新しい食」の具体案を考えます。
自分の考え出した食品を海外で売るためのビジネスアイデアを作り上げます。
最終的には発表(プレゼン)ができるようにします。
1学年では2回の発表会を経て、12月には代表40名を選びます。
代表にならなかった生徒は、そこで終わるのではなく、その後も「サポーター」として取り組みます。また、希望者は「チャレンジ枠」に登録できます。選考の審査には、本校教員・生徒だけでなく、近畿圏の有名国公立大学の教授や地元企業の方などの有識者からなる外部委員会も担当します。

■代表になった生徒は、国内外のフィールドワークに派遣されます。その費用は、(平成28年度現在)SGH予算から支出され、個人負担はありません。

■平成28年度現在のフィールドワークの行先は、1学年では国際教養大学(秋田県にある公立大学)と台湾の国立高校、2学年ではニューヨーク市立大学付属高校、3学年ではイタリア(ミラノ近郊の食科学大学)です。

■1学年で代表になった生徒(およびチャレンジ枠の生徒)が、2・3学年でもSGHの取組を続けます。それ以外の生徒は、2・3学年では、通常の総合的な学習の取組をします。


2016/10/08

2016.10.8 計量国語学会参加@日本大学文理学部


表記学会に参加しました。


どれも面白い発表でしたが,とくに,石井正彦先生の「文の長さの統計モデル」と,柏野和歌子先生の「書き言葉的・話し言葉的語の分離」は勉強になるお話でした。石井先生は,文長を考える場合,単文と複文の間に構造的な断裂があることを指摘され,柏野先生は,網羅的な文献調査をふまえ,「論文的な語」を抽出する意義あるプロジェクトについて紹介されました。

2016/10/07

2016.10.7 兵庫県立西宮北高校小・高英語教育連携研修会講演


西宮北高校にお伺いし,1)高校の先生の英語授業実践の参観,2)生徒さん向けの講話,3)小学校・高校の先生方を対象にした講演の3つを行いました。


1)については,しっかり声に出して英語を話す訓練を重視した興味深い授業でした。


2)については,こちらの高校では,事前の準備をして,高校生が近くの小学校に出かけて行って英語の模擬授業を行うという興味深いプログラムがあり,その参加者向けに,小学校英語の精神や留意点などをお話しししました。


3)では,西宮市内の小学校の先生がたが集まられ,小3への開始引き下げをふまえた新しい英語指導のありかた,また,モジュール性などについてお話いたしました。

演題:MARC:4つの視点で見取る小学校英語~グローバル社会に生きる子どもを育てる~





小学校英語は中学の先取りではない,ということは,文科省も強調してきたことで,我々もその方向で各地でお話をしてきたのですが,これまでの英語活動が3~4年に移動する中,5~6年の新しい教科としての英語の在り方をどう考えるかは,今後,現場を含めて議論を深めていく必要がありそうです。



2016/09/30

2016.9.30-10.2 英語コーパス学会参加@成城大

英語コーパス学会(理事会・大会)参加

表記学会に参加しました。








 学会では,SIGの新設などの計画も発表され,楽しみです。



2016/09/28

2016.9.28 国立国語研究所学習者コーパス研究会参加

下記の研究会に参加しました。


【研究会の詳細】
●開催日:9月28日(水)

●時 間:10:00~12:00
●場 所:国語研2階 211-14
●発表
 「学習者の絵描写タスクにみられる存在表現」 
   細井陽子(国立国語研究所 プロジェクト非常勤研究員)

 「学習者の対話に見られる接続助詞『から』の習得過程」 
   佐々木藍子(国立国語研究所 プロジェクト非常勤研究員)


※いずれも興味深い発表でした。個人的には,一般論として,小規模データを扱う際の手法について考えさせられました。小規模データであっても,たいていは,所定の統計的手続きにかけることができるのですが,常にそうすべきかどうかは悩ましいポイントです。たとえば,chi^2のように,「期待値が5未満とならない」という最低条件をクリアすれば,常に仮説検定デザインで議論を進めるべきなのか,あるいは,ざくっと1桁程度のデータであれば質的分析に切り替えるべきなのか,なかなか見極めが難しいところです。

2016/09/16

2016.9.16 尼崎市立武庫東中学校指定研究校内発表会講話

兵庫県尼崎市教育委員会は,学力向上のために,アクティブラーニングの導入を進めています。

>>>
アクティブ・ラーニング推進事業 (学校教育課)
基礎基本の学力に加え、活用的な学力を向上させるためには、 主体的・協動的に学ぶ学習(アクティブ・ラーニング)が効果 的なことから、課題解決型の学習や学び合いを取り入れた授業 実践を推進し、更なる学力向上を図っていきます。
>>>

出典:「平成28年度あまがさきの教育」 p.11
http://www.city.amagasaki.hyogo.jp/dbps_data/_material_/_files/000/000/010/273/28amagasakinokhouiku.pdf


市は,上記の施策に基づき,市内の学校に研究指定をかけて,現場での取り組みの強化を図っています。今回は,指定学校の1つである武庫東中学校の校内研究会に招かれ,数学(方程式)等の授業を視察し,講話を行いました。

視察した授業は,大変工夫されたもので,数学の文章題を見ながら,解法をグループで議論し,意見をホワイトボードにまとめ,発表します。

数学の授業風景 


ただ,正解を出すだけでなく,解法そのもの(方程式を使わない小学校方式,xを用いた中学校方式,また,その中でもxの置き方を変えた各種方式)を自分の頭で考えることを重視した指導で,新指導要領の精神を先取りした素晴らしい授業でした。

講話では,アクティブラーニングはそれ自身が目的となるものではなく,基盤的コンピテンシーを育成するための手段・道具であることなどをお話しさせていただきました。

2016/09/12

2016.9.12-13 7th Brno Linguistics Conference


チェコ共和国マサリク大学が主催する表記学会に前回に続いて参加し,研究発表を行いました。


発表題目:Use of genitives in L1 and L2 English discourses

「AのB」という内容を表出するには,Meg's penという言い方が一般的ですが,the pen of Megという形も成立します。今回の発表では,s型所有形とof型所有形の差異に注目し,NS/NNSによる統制的作文中に見られる2つの表現パタンの相関関係を分析しました。




分析の結果,NSやNNSを特徴付ける固有の表現パタンが抽出できました。A's Bにおいて,Aに無生物を置くことは,NNS,とくに日本人学習者に強く見られる傾向と言えそうです。



中欧という立地の良さから,毎回,ヨーロッパの英語学の研究者が多く集まる会で,今回も多くの発表を聞いていろいろと触発されました。


2016/09/07

2016.9.7-8 検定教科書用ネイティブ発話録音@大阪

関係している検定教科書付属の音声CD作成のため,大阪の音楽スタジオにおいて,ネイティブスピーカーによる吹込みを行いました。丸2日間かけて,複数の話者の発話を取り,音素の単位で,指定の発音と一致しているかどうかを確認します。


大阪 スタジオ


今回の仕事をやってみて,発音の確定の難しさを再確認しました。たとえば,topの発音は,主要な辞書の指示にもずれがあります。


研究社新英和中7




研究社リーダーズ




研究社新英和大6




大修館書店ジーニアス5




ごくごく平たく言えば,top1つでも,タップ,トップ,タ-プなどの発音バリアントが存在することになります。このような揺らぎは多くの単語に存在しますので,教科書が基準としている発音をその都度確認し,ネイティブの発音と照合し,相違がある場合はリアルタイムで指摘して取り直していただきます。

また,ネイティブであっても,importなど,品詞によってアクセントが移動する現象については,あまり意識していないことが多く,これらの確認も重要です。

これほど真剣に個々の音素を聞くことはほとんどなく,苦労しましたが,勉強になりました。また,音声監督さんに便乗して,(一度言ってみたかった)「はい,リテイクいただきます~!」などの業界用語を使ってみることができたのも良い思いでです。








2016/09/01

2016.9.1-3 大学英語教育学会(JACET)第55回国際大会


表記で,シンポジウム発表,および,海外招待講演司会を担当しました。


シンポジウム「基本語改訂特別委員会報告『大学英語教育学会基本語リスト:新JACET8000』の特徴と活用」

石川慎一郎 新時代のコーパス語彙表のあり方:新JACET8000(2016)の開発理念と教育的応用



発表では,新しいJACET8000の概要を紹介した後,大学生を対象に実施した語彙サイズテストの結果を報告し,上級学生の場合,5000語台からの体系的語彙トレーニングが必要であろうと結論しました。

2016/08/31

2016.8.31 本年度分科研データの収集完了

今年度の科研(萌芽)では,取集済みのアジア人学習者作文に対して,専門家によるプルーフをかけたデータの収集を行っています。先行して集めた日本・中国モジュールに加え,韓国,台湾,タイなどのデータの収集がひと段落しました。

今年度の残り期間では,集めたデータの加工と公開準備を行い,あわせて,オリジナル作文と修訂作文の質的・量的比較の分析作業を進める予定です。

本年度は,約400本の作文に修訂を施し,かつ,個々の作文について5観点の評価データを取得しています。


評点データの一部


今回開発しているICNALE-Proofreadのデータを使い,今後,

1)評点データの安定性検証
2)有効なルーブリック観点の抽出
3)ルーブリックの簡素化可能性の検証
4)ルーブリックと校閲の評価法としての長所・短所の比較
5)評点と校閲に基づく作文のクラスタリング

などを詳しく見ていく予定です。

2016.8.31 名古屋工業大学石川有香科研シンポジウム

表記で司会を担当いたしました。

名古屋工業大学石川有香科研第 1 回公開研究会 工学英語語彙指導:何を教えるか、どう教えるか、どう評価するか

 日 時:2016 年 8 月 31 日(水) 14 時 30 分―18 時 00 分

会 場:ヒューリック札幌ビル 5階 カンファレンスルーム 5C(札幌市営南北線 さっぽろ駅 9 番出口 直結) 〒060-0003 北海道札幌市中央区北3条西3丁目1−44 電話: 011-252-3165

1400 開場 司会 石川 慎一郎(神戸大)

1425-1430 開会あいさつ 石川 有香(名古屋工業大)

1430-1500 大学院生の発表を収集したコーパスの作成と利用 ハグリー エリック(室蘭工業大)

1500-1530 英語教育用語彙表における動詞の扱いについて 園田 勝英(北海道大)

1540-1610 工学系の学生が楽しんで受ける語彙テストを目指して 磯 達夫(東京電機大)

1610-1640 工学系クラスでの英語の語彙指導の実践 相澤 一美(東京電機大)

1650-1720 科研プロジェクト概要紹介 石川有香(名古屋工業大)・伊東田恵(豊田工業大)

1720-1800 総括ディスカッション

※本研究会は、H28-30 科学研究費補助金基盤研究 B「工学英語語彙の自律学習・共通評価システム J-ENG2 の構築」 プロジェクト(研究代表:石川有香)の一環として行われます。



2016/08/29

2016.8.29-30 統計数理研究所言語系共同研究グループ夏季合同研究発表会

統計数理研究所言語系共同研究グループ夏季合同研究発表会
会場:神戸大学六甲台第1キャンパス プレゼンテーションホール

表記の研究会をホストし,あわせて,ゼミ生とともに発表いたしました。


プログラムはこちら

ゼミメンバーの発表
石川慎一郎 3つの作⽂評価法:ばらつきが⼩さく精度が⾼いのは どれか
中西淳(M) 作⽂中の前置詞頻度に着⽬した学習者の学年・英語総 合⼒・英語圏滞在期間の推定:単回帰分析と重回帰分 析を⽤いて
張 晶鑫(D) 段階的変化を含意する「だんだん」及びその類義語の 意味機能の解明ー現代⽇本語コーパス分析に基づいて
前浜知味(M) 中⾼⽣のための教育的句動詞リストの開発: 統計⼿法 を⽤いた共起語分類と意味記述の提案
栁素子(D) 中国語の可能表現の諸相: 能/能够の差異の解明につ いて




石川の発表概要:
L2作⽂の評価に関して,(1)5名の評者がルーブリックに基づいて直接評価した場合,(2)5⼈の校閲者が校閲 を⾏い,加えられた校訂の量を評価した場合,(3)5つの⺟語話者作⽂を⽤意し,それらと⽐較して語彙頻度の逸 脱度(特徴度)を計量した場合において,評価者間のばらつきが⼩さく,被評価データ間のばらつきが⼤きくなるも のがどれかを検討する。データとして,現在発表者が開発中のICNALE-ProofreadのCalibrationデータセットを使⽤ する。


アドバイザーの統計数理研究所前田忠彦教授には,今回も個々の発表について大変丁寧なご指導をいただきました。



2016/08/24

2016.8.24 アジアフルートコングレス2016神戸大会 通訳

神戸市で開かれた表記の文化イベントに,レジストレーション付き通訳として協力しました。




これまでにも,芸術系・スポーツ系問わず,地元神戸で開催される様々なイベントで通訳を担当しています。コンクールを控えた海外の若手演奏家とお話しする機会もあり,今回も,有意義な経験となりました。将来はゼミ学生などもつれて参加したいと考えています。

2016/08/21

2016.8.21 全国英語教育学会(JASELE)埼玉研究大会


学会2日目,以下の内容で研究発表を行いました。



Shin'ichiro ISHIKAWA
Grammatical and Contextual Correctness in L2 Writing:  An Analysis of the ICNALE-Proofread,  A Newly Designed Parallel Corpus Including Learners’ Original and Edited Essays

発表では,現在,科研(萌芽)で作成している校閲コーパスを紹介しました。

校閲コーパスは,職業的校閲者による校閲データと,同じ校閲者が行った主観的評点データを含むもので,これを分析することで,各国の学生の作文がどう修正され,また,複数の観点においてどのように評価されるのかがわかります。

データにより,たとえば,評価が高く修正も少ない作文(=理想的作文)評価は高いが修正が多い作文,評価は低いが修正の少ない作文・・・などがわかります。今後,当プロジェクトでは,作文の「良さ」の再考をテーマにさらに研究を進めていきたいと考えております。

下記は,日本人大学生と中国人大学生の作文に対する5観点評点の統合指標値(単純平均,加重平均,主成分得点)を比較した結果です。日本人のほうが2割ほど低くなっています。




 

2016/08/18

2016.8.17-18 鳥取県高校英語プレゼンテーション研修

教育委員会が県内の高校生を集めて実施する特別研修の講師を担当しました。

鳥取県教育委員会主催 鳥取県高校英語プレゼンテーション研修

1 目 的
高校生に英語プレゼンテーションについての研修合宿を行い、生徒の英語学習への意欲を喚起するとともに、生徒の思考力・判断力・表現力を育み、地域及び国際的な視野と発信力をもつ人材を育成する。

2 内 容
ロジカルプレゼンテーションの手法を学び、実際にプレゼンテーションを作成して中間発表会を行う。さらに、講師の講評を参考に、ファイナルプレゼンテーションを作成して発表する。
※ 自分の学校の抱える問題を1つ選び,それを確実に解決しうる具体的で独自性の高いあなただけのユニークなアイデアを示し,説得力ある英語で3分間の発表を行う。

3 講 師
神戸大学 大学教育推進機構 国際コミュニケーションセンター
教授 石川 慎一郎 氏

4 期 間
平成28年8月17日(水)~8月18日(木)(1泊2日)

5 会 場
大山青年の家
〒689-3319 西伯郡大山町赤松明間原312番地1


プレゼンのテーマについては,様々な高校での実践をふまえ,高校生が自分の問題としてとらえやすい「私の学校の問題とその解決法」としました。2日間の指導内容はおよそ以下の通りです。

Day 1
1時~2時 講義:ロジカルプレゼンテーション入門 
2時~3時 日本語スクリプト作成
3時~4時 日本語スクリプト作成
4時~5時 日本語スクリプト作成

Day 2
9時~10時 英語原稿個別チェック
10~11時 同上
11~12時 英語発表法指導・個人発表指導
13~14時 最終発表会

最終的には,全員素晴らしい発表を仕上げてくれました。1泊2日という限られた時間で大きな成長を遂げられた鳥取の高校生のみなさんに敬意を表します。


名峰「大山」 (宿泊先ホテルより)

会場になった「大山青年の家」」

授業風景

最終発表を前に:壁に向かって何度も原稿を読んで頭に入れる


大勢の聴衆(県内中高生,ALT)の前で立派に英語による意見提案をやり遂げた!


心に残る黒板アート(教育委員会の皆さま,ありがとうございました)





2016/08/05

2016.08.05 名古屋工業大学・豊田工業大学英語プレゼンテーションコンテスト


表記イベントに審査員・講話者として参加しました。



2016 名工大石川有香研究室&豊工大伊東田恵研究室
合同英語プレゼンテーション発表会参加者


日 時:2016年8月5日(金)10時00分―12時00分
場 所:名古屋工業大学4号館 ホール

1. (情報工学科) “Data mining for medical information”
2. (情報工学科) “Mobile wireless sensor network”
3. (電気電子工学科)” New technology to support people”
4. (情報工学科) “Importance of security system”
5. (情報工学科) “Speech recognition changes our society”
6. (生命物質工学科) “Synthetic Organic Chemistry”
7. (電気電子工学科) “Technology to detect radiation”
8. (情報工学科) “Multiagent system”
9. (情報工学科) “Voice recognition for crime prevention”
10.(電気電子工学科)“Superconductivity changes your life”
11.(機械工学科)
12. (博士前期課程2年) “Advantages to go abroad”

講話と講評  石川慎一郎(神戸大学)

大学生が,高校生を想定聴衆として,自分たちが行っている最先端の工学研究の内容を英語で説明する,というチャレンジングな企画で,大いに楽しませていただきました。

講話では,学生さんの実際の発表内容を素材に使いながら,良い研究・良い研究発表のコツとして,

1)因果を明確にし,因果距離を短くする
2)物の良さは比較で説明する
3)負の面にも言及する
4)内容を精選する

といった点をお話しさせていただきました。次代の日本の工学研究を支える若き学生の皆さんの今後の研究のお役に立てばうれしいです。





2016/08/04

2016.08.04 大阪大学「教員のための英語リフレッシュ講座」


表記の講座で,1コマ分,講演を担当しました。





タイトルは,「コーパス分析に基づく新しい語彙指導とライティング指導の展開」。昨年度に引き続き,2回目の出講です。昨年度は語彙選定・語彙指導のお話をしたので,今年度はライティング指導に絞ってお話しさせていただきました。








講演では,「良い作文をどう定義するか」という問いを立て,既存のルーブリック,習熟度テスト,シラバス,コンテスト,コーパスなどからそれぞれ操作的に概念定義を行う可能性について述べました。